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2024.06.05

産業革命前の気温1.5度上回る確率、5年以内に8割 国連が分析

 国連の世界気象機関(WMO)は5日、今後5年のうち少なくとも1年は、80%の確率で一時的に産業革命前(1850~1900年)の平均気温を1・5度上回るとの分析を発表した。国連のグテレス事務総長は「気候地獄に向かうハイウエー(高速道路)から降りる出口が必要だ。私たちはそのハンドルを握っている」と危機感をあらわにし、行動の加速を促した。

 温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」は、世界の平均気温の上昇を2度より十分低く、できれば1・5度に抑える目標を掲げる。WMOの分析は、変動の上振れによって一時的に1・5度を超える年があることを意味する。パリ協定での目標は数年にわたる傾向をみるため、一時的に1・5度を超過しても当面は目標を達成できなかったとの判断には至らない。

 ただ、2015年時点のWMOの分析では、目先の5年間で一時的に1・5度を超過する可能性はゼロに近かった。温室効果ガスの排出増が続くなかで、その可能性は時間の経過とともに高くなっている。WMOは今回、28年までの5年平均で1・5度を超過する可能性は47%と試算した。

 ニューヨークの米自然史博物館で演説したグテレス氏は「1・5度と2度の差は、(気候変動の影響を受けやすい)いくつかの小さな島国や沿岸地域にとっては絶滅と生存の分かれ目となり得る」とし、「1・5度への戦いは20年代に勝敗が決する」と訴えた。

 また、欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービスが同日発表した分析によると、24年5月までの12カ月間の世界の平均気温は産業革命前の平均を1・63度上回り、観測史上最高となった。同サービスのブオンテンポ所長は「一連の暑かった月は、(この先温暖化が進めば)比較的涼しい時期として記憶されるだろう」と指摘。早急に大気中の温室効果ガス濃度を安定させる必要があると強調した。【ニューヨーク八田浩輔】

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