ソーシャルアクションラボ

2024.07.02

増えるジェンダーレス水着 学校現場「授業を見学する生徒減った」

 水泳の授業で男女のデザインが同じ「ジェンダーレス水着」を採用する学校が増えている。現場からは「水着になることへの抵抗感を少しでも減らし、積極的に授業に参加してもらえたら」と期待の声が上がる。

制服に続き水着も

 東京都武蔵野市立第五中学校では今年度から、従来の男子用、女子用に加え、長袖の上着とハーフパンツに分かれた男女共用の中から生徒が着たい水着を選べるようにした。

 同校では制服も、男女を問わずにスラックスやスカートなどの中から着たいものを選べるようにしている。保健体育を教える阿部直樹教諭(47)は「最近はスラックスをはく女子生徒も増えており、水着もジェンダーレスタイプがないか探していた」と話す。

 生徒から具体的な要望があったわけではないが、従来の水着だと体のラインが出ることや肌の露出を気にする生徒も少なくなかったといい、阿部教諭は「選択肢を増やすことで、より積極的な気持ちで授業に参加してくれれば」と語る。

 水泳の授業は7月から始まるため、実際にどのくらいの生徒が共用水着を着るかは分からないが、購入数でいえば男子用、女子用をそれぞれ上回っているという。

性の悩み持つ生徒の声を受け誕生

 第五中学校が採用するのは「男女共用セパレーツ水着」という商品。水泳用品を製造・販売する「フットマーク」(東京都墨田区)が2022年にスクール水着としては業界で初めて売り出したジェンダーレス水着で、5、6年前に「『どの水着を選んでいいか分からない』という性の悩みを持つ生徒がいる」と販売店から相談を受けたことが商品化のきっかけになった。

 「男女とも同じ形にすることで性別による水着の選びにくさをなくし、同時に『手術痕を見せたくない』『日焼けしたくない』などのさまざまな悩みを解決できる商品を作ろう」

 そんな思いを込めてできあがった商品は、身体的な違いが出にくいよう胸や腰の部分はゆったりとしたデザインに。従来の水着より布の面積は広くなっているが、はっ水加工を施すことで水分を吸い込みにくいよう工夫した。また、上着の裾がおなかと背中の両側でめくれることがないようボタンでハーフパンツに固定できるようにした。

都市部を中心に採用広がる

 同社によると、23年度に男女共用セパレーツ水着を採用した学校は約300校だったが、24年度は400校以上での採用が見込まれる。大半は中学校で、東京、大阪、名古屋といった都市部への出荷が多いという。

 営業を担当する同社の木村元気さん(46)は「体形や体毛、肌の疾患などを気にして『上半身を見せたくない』という人は多く、男子生徒にも好評です。学校からは『思ったより泳ぎにくそうではなかった』『授業を見学する生徒が減った』などの声が届いています。授業に楽しく参加できる生徒が増えているようで良かった」と話している。【宮川佐知子】

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