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2024.10.22

「供養して少しずつ…」能登豪雨で被害の14歳 月命日に父の思いは

 石川県奥能登地方で14人が死亡し、1人が行方不明になるなど大きな被害が出た豪雨災害から21日で1カ月が経過した。亡くなった同県輪島市久手川(ふてがわ)町の中学3年、喜三翼音(きそ・はのん)さん(14)の家族が月命日の同日、取材に思いを語った。

 翼音さんは9月21日午前、豪雨で氾濫した塚田川沿いの自宅にいたが連絡が取れなくなり、同月30日に福井県坂井市の福井港沖で遺体が見つかった。家は基礎を残して流されており、家ごと濁流にのまれた可能性がある。

 今月12日に葬儀を終え、遺骨は祖父誠志さん(63)たちが暮らす野々市市の自宅に安置されている。遺影の周りにはたくさんの花や菓子、翼音さんが好きだったキャラクターのぬいぐるみ、川沿いの竹やぶで見つかった制服の白いシャツなどが大切に飾られていた。

 泥だらけだったシャツは、祖母の悦子さん(64)が何度も洗濯し、色を戻した。「まだ信じられなくて、本当に……。1カ月はあっという間だった」と振り返る。翼音さんは金沢市の高校へ進学を希望し、悦子さんたちと野々市市に住む予定だった。福井の海で見つかったことを悦子さんは「奇跡」と言う。

 父の鷹也さん(42)も「(家族の元に)帰ってきたかったんだろうと思う。1日遅かったら沈んでいたかもしれなかった」と思いをはせ、「供養して、家族で少しずつ頑張っていきたい」と話した。【国本ようこ】

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