2024.11.12
COP29首脳級会合始まる 主要国の欠席相次ぐ 資金調達が焦点
アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で12日、首脳級会合が始まった。COP29は途上国の地球温暖化対策の資金調達が最大の焦点だが、日本や米国、中国といった主要国の首脳が参加せず、交渉や対策強化の推進役として期待される国が不在の会合となった。
首脳級会合は13日まで。国連のグテレス事務総長は会合冒頭の演説で「もう時間がない。気候変動対策の資金は世界が負担しなければならない。そうでなければ人類がその代償を払うことになる」と述べ、無償資金の大幅増や、化石燃料の採掘への課税など革新的な財源を利用する必要があると訴えた。
同条約の会議では近年、序盤で首脳が集まる場を設けている。首脳の参加によって会期後半に本格化する交渉を勢いづけ、合意に結び付ける狙いがある。
条約事務局が11日に公表した資料によると、2日間で演説を予定しているのは75余りの国・地域の首脳らだという。
日本の石破茂首相は特別国会のため欠席した。米国は現在のバイデン政権の代表団がCOP29に参加しているが、バイデン氏自身は参加していない。二酸化炭素(CO2)排出量が世界1位の中国と3位のインド、来年のCOP30議長国・ブラジルなども首脳本人の出席を見送っている。
米国のトランプ次期大統領は、温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」から再離脱する意向を示し、資金拠出も停止する可能性が高い。途上国側からは2025年以降、対策資金として年1兆ドル(約153兆円)以上の無償資金を求める声が上がるが、主要なドナー(出し手)である米国の離脱が現実味を帯びたことで、COP29での資金を巡る交渉への影響を懸念する声もある。
資金を必要としているにもかかわらず、首脳級会合だけでなく、COP29への参加そのものを見送った国もある。太平洋の島国パプアニューギニアは「CO2排出量の多い先進国などの大国に対する抗議の意」として参加を取りやめた。気候変動枠組み条約の会議では先進国と途上国の対立を繰り返しながら、温暖化対策を進めるための合意を積み重ねてきたが、改めて国際協調の難しさが露呈している。【バクー山口智】
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