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2024.12.26

青ノリ漁師苦闘 福島・相馬で収穫シーズン 温暖化が影響か

 福島県相馬市の松川浦の名産の青ノリ(ヒトエグサ)の今シーズンの収穫が25日に始まった。例年になく生育が遅く、12月の水揚げ量は大幅に減る。温暖化に伴う水温の上昇の影響を指摘する声もある。

 漁は例年12月に始まり、翌年5月ごろまで続く。相馬双葉漁業協同組合によると、昨年12月は4回の漁で5トン強が収穫されたが、今年は収穫できるノリが少なく、漁は25日の1回のみ。6隻が計約200キロを水揚げした。本格的な収穫シーズンに入る前に変色や葉が切れるノリが目立ったという。

 40年以上にわたりノリを養殖する遠藤友幸さん(65)もごく一部を出荷した。淡水と海水が入り交じる「潟湖(せきこ)」の松川浦のこの時期の水温は例年5~7度だが直近は9度ほどだといい、「温かい日があまりに長引いた影響か、川から注ぐ水の質が例年と違うのか。自然環境の変化は難しい」と嘆く。「寒さが増せば例年より1カ月遅い2月ごろに収穫のピークが来るはず。とにかく今は寒くなってほしい」と話していた。

 青ノリ漁は2011年の東日本大震災の津波で約2万4000柵のノリ棚の大半が流され、東京電力福島第1原発事故で養殖、出荷の自粛に追い込まれた。18年2月に出荷が再開したが、生産量は震災前の4分の1にとどまり、販路拡大が課題となっている。【尾崎修二】

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