2025.02.15
放鳥が話題のトキとは 学名はニッポニア・ニッポン 明治以降激減

国の特別天然記念物トキについて、環境省は14日、2026年6月ごろに石川県・能登半島地域で放鳥する方針案を有識者検討会に示し、了承された。放鳥はこれまで新潟県佐渡市でのみ行われており、本州では初となる。
能登半島では、佐渡島で放鳥されたトキが飛来したことはあるが、本格的に生息すれば、半世紀以上の時を経ての復活となる。1970年に同県穴水町で本州最後の野生トキ「能里(のり)」が捕獲されて以来だ。県内で20年以上かけた検討・準備が認められたもので、佐渡島以外では、初の試みとなる。
トキは古来、羽の色などが尊重され、学名が「ニッポニア・ニッポン」になるなど、国内の代表的な鳥とされてきた。だが、湿地を採食場とするため、水田を荒らすとして「害鳥」ともみなされ、明治以降激減した。
能登では、昭和初期に生き残っているのが見つかり、戦後、佐渡と能登の個体群が国の特別天然記念物にも指定された。現在、のと里山空港がある輪島市三井町洲衛(すえ)地区などで営巣、夏場は餌を求めて同県羽咋市や志賀町にまたがる眉丈(びじょう)山に移るなど、能登の空を飛び交っていた。
14日の環境省検討会で決まった方針では、放鳥は、具体的には2026年6月ごろが想定されている。その後の生息状況に関するモニタリング調査が鍵となるが、放鳥は複数年続ける方針だ。
本州で初めて認められた背景には、県内で続けられてきた「復活プロジェクト」がある。04年度に県庁内に検討チームを設置。いしかわ動物園(同県能美市)は、国内での分散飼育施設にも選ばれ、10年度から15年連続で繁殖に成功。「石川生まれのヒナ」は計113羽に達している。
民間でも、減農薬の稲作などの取り組みが図られ、紙芝居などを通じて子どもたちにもアピールしてきた。能登半島地震後の昨年6月に策定された「創造的復興プラン」では、「トキと共生する自然豊かな能登の実現」を復興のシンボルに掲げていた。
これらの活動の報告を受け、この日の同省検討会は「トキが野生復帰するに足るだけの自然的・社会的環境と地域体制が整備されている」と認定した。対象となるのは、同県宝達志水町以北の能登全域9市町。今後、県を含めて具体的な実施内容を詰めていく。
日中をまたにかけ保護活動を続けてきた「生き字引」で、県トキスーパーバイザーにも委嘱されている村本義雄さん(99)=羽咋市=には、馳浩知事が電話でこの日の決定を報告。県自然環境課によると、村本さんは知事の声をしっかり聞き取り、「ありがとうございます」と繰り返して、喜びでいっぱいの様子だったという。【竹中拓実】
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