ソーシャルアクションラボ

2025.09.11

サクラの“天敵”、名古屋で急増中 クビアカツヤカミキリに注意

 サクラの木を食い荒らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の被害が名古屋市で急増している。2024年度は、市内で最初に確認された19年度の10倍近くにあたる435本の被害が確認された。市は幼虫の駆除を呼びかけている。【式守克史】

初確認から10倍

 クビアカツヤカミキリは中国や韓国、ベトナムなどが原産。成虫は2~4センチ。

 環境省などによると、日本では12年、愛知県飛島村で初めて見つかってから愛知、三重、東京、大阪など15都府県で確認されている。ウメ、モモなどバラ科の植物を好み、特にサクラの木に被害が集中している。18年に特定外来生物に指定された。

 樹皮に数百匹から2000匹の卵を産み、幼虫になると、木の内部を食い荒らす。根から吸い上げた水分や栄養の通り道も塞ぐため、葉がつかなくなったり、枯れてしまったりするという。

 名古屋市内の被害は、19年度48本▽20年度35本▽21年度62本▽22年度28本▽23年度168本▽24年度435本――と推移。9割近くがサクラの木だった。

 当初は市南部や西部の港区、中川区だけだったが、24年度は市東部の守山区や天白区でも確認された。6~7月に活動する成虫が樹木を伝って移動したり、車などにくっついて運ばれたりして徐々に生息範囲を広げているとみられる。

 被害を受けた樹木では4~10月、幼虫のフンと木くずの混ざった「フラス」が確認される。ここで、樹皮をはいで幼虫を掘り出したり、根から薬剤を注入したりして駆除することが重要だという。市は樹木管理者に対して春と秋の定期点検を呼びかけている。

 約1000本のサクラが植樹されている港区の戸田川緑地公園では今年、成虫が約500匹見つかった。駆除したものの、約50本のサクラで、花が散った後に葉が茶色に変色して枯れた。枝が落下する危険性があることから、順次伐採するという。

 戸田川緑地管理センターの加藤明子副所長は「今年は例年になく枯れる木が多く、伐採も増えている。皆さんがサクラの開花を楽しみにしているので、地道な取り組みで被害を防いでいくしかない」と話す。

 6月に市民参加型のイベントを開いたほか、クビアカツヤカミキリがサクラを枯らすことを伝えるポケットティッシュを来園者に配布。「見つけたら退治」を呼びかけるなど啓発にも力を入れている。

関連記事