2025.10.01
今夏の富士山の入山料収入、山梨・静岡両県で計9億9000万円

山梨、静岡両県が今夏に実施した富士山の入山規制で、登山者から徴収した1人4000円の入山料(通行料)による収入が、計約9億9000万円に上ったことが判明した。両県は規制に掛かった経費をはじめ、登山の安全対策や環境保全にそれぞれの収入を充てるとしている。
山梨県によると、県が吉田ルート5合目に設置した規制ゲートなどの通行を許可したのは14万9713人(昨年比12人増)で、通行料の総額は5億9138万4000円。通行料が1人2000円だった昨年は総額2億9782万6000円で、値上げによって2倍近くに増えた。
県は増収を見込み、今年は7合目の救護所の開設期間を増やしたり、安全指導などに取り組む県富士山レンジャーを正規職員に格上げしたりしてきた。下山道に設置するシェルター(避難壕(ごう))の整備費にも充てるという。
一方、今夏に規制を始めた静岡県によると、富士宮、須走、御殿場の3ルートで入山手続きをした登山者は10万3174人。入山料収入は4億63万6000円となった。
県によると、規制経費に3億円を見込む。人件費のほか、規制導入にあたり登山者が手続きをする仮設小屋の整備費などがかさんだ。経費を差し引いた収入は、入山料の導入で廃止された任意の富士山保全協力金(1人1000円)で実施していた山小屋トイレの改修や下山道の整備に充てるという。
県の担当者は「環境保全や安全対策にできるだけ多く充てられるよう来年に向けて(使途を)精査したい」と語った。【野田樹】
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