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2025.11.15

クマ出没で臨時休校 9道県で62校、延べ84日 毎日新聞調査

 クマの出没を受けて臨時休校した小中高校が2025年度、全国で少なくとも62校(延べ84日)に上ることが毎日新聞の調査で判明した。クマ出没を理由にした休校の数を把握していない自治体があり、実際はさらに多い可能性がある。登校できても屋外学習が制限されるなど教育の機会が減っており、学校現場からは「教育の質に影響しかねない」と不安の声が漏れる。

 クマの生息が確認されていない九州・沖縄を除く39都道府県教育委員会に14日現在の状況を聞き取った。教委が把握していない場合は、休校などの報道があった市町村に問い合わせた。

最多は北海道30校

 休校の実施が確認されたのは9道県で、最多は北海道の30校(同42日)。山形14校(同15日)、秋田・長野4校(同8日)が続いた。全国で北海道の7校(同7日)のみだった24年度から急増しており、人の生活圏でのクマの出没増加を受け、学校現場も対応を迫られている現状が浮き彫りとなった。

 市町村単位で休校数が最も多い札幌市では、14日も小学校2校が今年度初めて休校し、計15校(同21日)に上った。市教委は学業への影響について「現状は年間計画にゆとりがあり、振り替え授業などをするまでの状況ではない」と説明。一方、インフルエンザによる学級閉鎖も増えており、今後補講を検討する可能性があるという。

 北海道教委は8月、学校現場での対応の手引を初めて作成して各校に通知。登校前にヒグマが出没した場合、保護者による送迎や臨時休校を検討すると明記した。

 休校は1日のみで終わるケースが多いが、再開まで時間がかかる学校もある。秋田市では10月末、明徳小が4日間休校。2日目からは情報通信技術(ICT)端末などを活用して自宅学習を行った。同じく10月末に校内で出没が相次いだ福島市立佐原小は計2日休校し、オンラインで授業を行った。

 一方、クマの出没が相次ぐ地域でも県単位で市町村立学校などの状況を把握できていない教育委員会が複数あった。福島県は「前例がなく、情報共有の流れが確立されていない」と説明。群馬県は「今後情報を整理したい」とした。

 文部科学省も全国の状況の調査は行っていないが、担当者によると「実態は報道ベースで把握している」といい、「現状、休校は単発か数日間で、学校のカリキュラム管理で補える」としている。【片野裕之、後藤佳怜、森原彩子】

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