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2025.11.24

葉っぱのギザギザ、間隔が決まる仕組みを発見 「調整役」の役割解明

 植物の葉にできるギザギザや、葉や茎の配置が一定の間隔に決まる新たな仕組みを見つけたと、奈良先端科学技術大学院大の池内桃子特任准教授らが英科学誌で発表した。ホルモンのように働く分子が調節役を担っていることが分かり、20年来の定説を書き換える成果という。

 植物は、一定の間隔で葉や花、茎が配置されたり、葉の縁に鋸歯(きょし)と呼ばれるギザギザがあったりと、器官の形成に周期性がある。

 この形成には、成長を促すホルモン「オーキシン」が植物の体内で移動し、局所的に高濃度で蓄積することで決まると長らく考えられてきた。しかし、蓄積する部位の周期性がどのように決まっているのかは不明だった。

 研究チームは、ホルモンのように働くペプチド分子「EPFL2」に着目。葉のギザギザの深さに関係することが知られていた分子で、シロイヌナズナを使って分子が働かないように遺伝子操作すると、ギザギザが通常よりも増えた。

 詳しく調べると、この分子はオーキシンの作用を抑える働きをしていた。実験では、分子が少ないとオーキシンが異常に作用し高濃度の場所が増えることでギザギザが多くなり、分子が多いとその逆となり、周期の長短に関わっていることが判明した。

 この結果、植物が成長する最先端である茎の先や葉の縁では、運ばれてきたオーキシンに対し、ペプチド分子が適切に働くことで作用に強弱を付け、植物を形作っていることが分かった。植物の形に多様性をもたらしている要因の一つの可能性がある。

 チームの為重(ためしげ)才覚(としあき)・京都府立大講師(植物発生学)は「カーネーションの花びらのギザギザや、サニーレタスの入り組んだ葉の形成にもこの分子が関与していると考えられる。人為的に分子の量を操作すれば、新たな品種改良の手法になりうる」と話した。

 成果は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載(https://doi.org/10.1038/s41467-025-65792-y)された。【渡辺諒】

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