2026.01.23
機能的でおしゃれに 平時から使える防災ベスト、福井工業高専が提案
国立研究開発法人・防災科学技術研究所などが主催する「第4回高専防災減災コンテスト」の最終審査に残った福井工業高専(福井県鯖江市)の2チーム。そのうちの1チームの提案が、環境都市工学科4年の女子学生5人が取り組む「ベストなベスト~身に着ける安心~」だ。アイデア満載でおしゃれな防災ベストを作り上げた。
コンテストは防災減災に関わる社会課題の解決策とそのアイデアの検証過程を競う。5人の問題意識は、福井県内の高齢化率の高さと災害関連死に見られる高齢者の多さ。女性の視点が必要な防災活動に、共働き率の高い福井では女性の参画が少ないという調査があったことも意識した。
さらに230人以上にアンケートを行い、防災グッズを用意していない人が半数近くいたことも判明。こうした課題を解決する一つの取り組みとして、ポケットが多く、ものが取り出しやすいなど避難生活でも役立つ防災ベストの作成を提案した。
実は防災ベストのアイデア自体は24年に提案し、携帯トイレや歯磨きシートなどを収納できるベストを試作した。これが校内のビジネスアイデアコンテストで最優秀賞を受賞した。避難所となる施設に保管し、避難後に着用するものとした。また、企業に販売して、自治体に寄付してもらうというビジネスモデルも提案した。
今回はさらに実用的なベストへの改良を目指し、平常時から使えるベストを目指した。「防災ベストを作ってもどこかに保管してしまうと、いざという時に使えない。普段から使っていれば災害時にもすぐに使える」とメンバーの代表、新井葵々(きき)さん(19)が狙いを語る。自治体の制服にしてはどうか。そのためには、おしゃれでなければ――。アイデアが膨らむ。
試作品を元に5人は25年8~10月、手分けして繊維会社などの企業や専門家らに聞き取りをした。「夜でも見えるように反射材を付けてはどうか」「経年劣化が心配」「ファッション性もほしい」など有意義な意見をもらえた。
12月19日、製造で協力してもらった同県勝山市の縫製会社「ラコーム」から改良版が届いた。表は黒、内側はオレンジ色で、用途に応じたポケットは計11個。襟には、服用している薬など必要な個人情報を記したカードを入れるスペースも。襟に収納されたフードは、取り外して水がくめる素材になっている。
胸元の反射材はデザイン性が高く、背中には福井ならではの恐竜の足跡型の反射材を付けた。メンバーの高嶋加凛さん(18)は「機能性だけでなくファッション性も考えられており、想像以上にすてきなベストができた」と満足そうだった。
7月下旬から取り組んだこれらの検証作業の結果は1月24日の最終審査会で発表する。アイデア満載の自信作。新井さんは「あとは7分で発表できるか心配です」と笑った。【萱原健一】
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