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2026.01.27

「時速20キロまで5秒かける」 アクセル踏み方見直しで三つの効果

 「意識するのは右足だけ。自動車の発進時、時速20キロに達するまで5秒かける」という「アクセルトレーニング」が愛媛県今治市でじわじわと進んでいる。市の職員らでつくる自主研究グループが脱炭素化と燃費向上に向けて始めた試み。環境にも経済にも、何より交通安全にも良いため2024年には市の公用車の一部に導入され、民間の4企業にも取り組みが広がっている。

 多くのドライバーにとって、20キロまでに5秒かけるという発進はかなりのゆっくりペース。だが、毎日のように続けて習慣にすることで燃費は10%程度向上し、二酸化炭素削減に確実につながるという。そのうえ、常に車間距離を十分取ることで事故を抑えることになる。こうした効果は脱炭素社会実現に向けた環境省の国民運動サイトでも紹介されている。

 今治市は若手職員を中心とした自主研究グループが、24年2月からマイカーに車載器を取り付けて実証研究を始めた。市はその効果を受けて、同年7月から公用車19台にトレーニングを導入している。トレーニングは車載器と連動したスマートフォンアプリで①しっかりと時間をかけて発進しているか②ふわっとした加速ができているか③発進の終盤で加速をほぼ終えているか――などについて日々採点を受け、燃費の向上具合も数値化できる。

 市は24年度に環境省の採択を受け、地域企業の脱炭素経営を支援する「バリグリプロジェクト」を進めており、企業のアクセルトレーニング導入もその一環。四国ガスなどに続く4社目となる本州四国連絡高速道路も26年1~3月、同市にある「しまなみ今治管理センター」(社員28人)の社用車5台で日々、脱炭素化と交通安全を意識した運転に取り組み、期間を終えても全員が運転習慣とすることを目指す。

 26日には同センターでトレーニングの勉強会と試走があり、社員は次々にアクセルの踏み込み方を体感した。社用車の他、マイカーも日々運転している門脇優太さん(27)は「加減が難しいですが、燃費に良く、安全運転にも寄与するようなのでマイカーでも挑戦したい」と話した。

 今治市の公用車19台の場合、不特定の職員が運転しているものの、トレーニング導入後半年間の平均燃費は約13%改善された。ガソリン使用量は1台当たり年61・4リットル、ガソリン代は年約1万1500円の節約につながるとされ、市は26年度も同じ規模で導入を続ける方針。【松倉展人】

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