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2026.07.10

廃棄のカキ殻が地酒づくりに活躍 養殖業界パイオニアの挑戦

 三重県志摩市の的矢湾で三重ブランド「的矢かき」を養殖する佐藤養殖場(志摩市磯部町的矢)が、養殖過程で出る大量のカキ殻を活用して作った酒米で醸した日本酒「的矢廻(めぐり)」の販売を始めた。

 1925年創業の同社は、カキをいかだにつるして養殖する方法や、紫外線で滅菌した海水に長時間浸す浄化法を考案した業界のパイオニア。ただ近年の海水温の上昇によってへい死したカキの廃棄処分に頭を悩ませていた。

 活用法を模索していた浜地大規社長(46)は、海女たちが畑に海藻をまくことをヒントに、ミネラルなどを豊富に含むカキ殻を粉末にした肥料を土にまいて酒米を作り、カキに合う日本酒として生まれ変わらせるというサイクルを思いついた。

 2024年には市内の0・5ヘクタールの田んぼにカキ殻の粉末をまき、昨秋、酒米「神の穂」を収穫。かねて親交があった伊賀市の蔵元・大田酒造に醸造を託した。

 完成した酒は辛口ながらもフルーティーな味わいに。「的矢の海で育ったカキ殻が大地を巡り、日本酒となって再び地域へ還る」との思いから「的矢廻」と名付けた。

 同社は今年、地元の建設会社の協力を得て約1ヘクタールの休耕田を重機で開墾し新たに酒米を植えた。浜地社長は「小さなスタートだが、伊勢志摩を舞台に大きなうねりを作りたい。3年後には5ヘクタールを目指す」と語った。

 「的矢廻」は2000本限定。1本(720ミリリットル)2900円(税込)。佐藤養殖場のオンラインストアや直営飲食店「的矢かきテラス」などで購入できる。【下村恵美】

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