2025.05.03
パビリオン内に自前の「祈りの部屋」 万博・インドネシア館

イスラム教の聖地であるメッカに向かい祈りをささげる。ここは大阪・関西万博のインドネシア館にある小さな一室。パビリオンで働くムスリム(イスラム教徒)のインドネシア人スタッフが「祈りの部屋」として使う場所だ。
国民の9割近くがムスリムのインドネシア。ムスリムは1日に5回礼拝をするため、スタッフは休憩時間のうち約20分間を祈りの時間に充てる。服装はパビリオンに立つ姿と同じで、スタッフ証も首から下げたままだ。部屋には祈りの前に顔や手足などを洗うための水道も備えられている。
ムハンマド・タクディルさん(34)と一緒に祈ったレイザン・ラーマナンダさん(22)は「祈りの部屋があると安心する」と話す。
万博会場内には、「静けさの森ゾーン」に「祈禱(きとう)室」が設置されている。特定の宗教向けではなく、祈りや瞑想(めいそう)など自由に使うことができる。ただ、万博会場は広くパビリオンとの往復に時間がかかることから、通常は自国パビリオンで祈るのだという。
一方、金曜日は集団礼拝をするため、インドネシア館のスタッフも祈禱室を利用する。日本国際博覧会協会は何カ国のパビリオンが自前で「祈りの部屋」を設置しているかは「把握していない」としている。
万博にはさまざまな宗教や文化、言葉を持つ人々が参加している。一心に祈る姿を見て、そのことを改めて感じた。【大西岳彦】
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