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2025.06.11

チョコの電池、グミのクマ… 万博スイス館、食べられるロボット披露

 食べられるロボットで人命救助やフードロス削減につなげたい――。そんなユニークな研究の一端が、大阪・関西万博のスイス館で展示されている。その名も「ロボフード」。同館で開発者らがチョコレートでできた食用電池と、グミでできた動くクマのオブジェを披露し、世界初となる試食会を開いた。

 開発したのはスイス連邦工科大ローザンヌ校(EPFL)やイタリア技術研究所(IIT)などの研究チーム。食材をロボットの素材に置き変えようと研究し、翼が米菓子でできた食べられるドローンや、プラスチックの代替としてゼラチンでできた動く装置などを試作してきた。ドローンは遭難救助にも役立てられる。

 スイス館で展示されているのは、一見普通のウエディングケーキ。だが、ケーキの頂上にはソーダとクエン酸の化学反応によって動くグミのクマがあしらわれ、ケーキを彩るLEDキャンドルの電力源となるチョコレートの電池もちりばめられた。電池は金箔(きんぱく)を導線とし、ポリフェノールの一種の「ケルセチン」と、ビタミンの一種「リボフラビン」を電極に取り入れ、チョコレートでコーティングした。記者も試食したが、味わいは市販のチョコレートやグミとほぼ変わらなかった。

 プロジェクトを率いるEPFLのダリオ・フロレアノ教授は、「ロボットは生活を支えてくれるが、壊れたら廃棄物となり自然に返らない。食べられるロボットなら環境汚染やごみを増やす心配もない」と話す。ロボフードの実用化にはまだ時間がかかりそうだが、「食の概念を変える大きな変化となる。世界の最新の科学技術が集まる万博で披露されることで、新たなイノベーションを生むことができる」と期待を寄せる。【田中韻】

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