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2025.07.15

「言語だと知るきっかけに」 手話でインターハイ支える広島の高校生

 今夏に中国5県で開催される全国高校総体(インターハイ)の総合開会式で、広島県内の高校生たちが手話通訳を担当する。県教委によると、これまでのインターハイでは各県のろうあ連盟などの関係者が担当するケースが多かったが、今大会は高校生たちが大役を買って出た。

 インターハイは23日~8月20日に開催され、総合開会式は7月24日に広島市中区の県立総合体育館(広島グリーンアリーナ)である。

 手話通訳を担当する高校生は19人。インターハイの運営に携わる高校生が手話通訳募集のチラシを作り、県内の中学・高校に送付して参加を呼びかけた。開会式では、あいさつなどを手話通訳する様子が会場の大型スクリーンの一部に映し出される。

 高校生たちは、約1年前から月に1回集まり、県ろうあ連盟の講師らから手や指の動かし方について指導を受けている。

 手話が得意な県立大門高校(福山市)の藤本珠希さん(3年)はリーダー的存在。高校生が手話通訳する今回の取り組みを提案した。小学4年の時に地元の手話サークルに行ったことがきっかけで関心を持ったといい、「メインは選手だが、同じように手話通訳を頑張る高校生の姿も見てほしい」と意気込む。

 広島大付属高校(広島市)の下園理子さん(2年)は「手話に直接触れ合うことがなかった人が、手話を知るきっかけになってほしい」と練習に励む。国歌を手話通訳する練習で特に苦戦したといい、「歌詞が短く、ゆっくりなので手の動作も少ない。曲の雰囲気を壊さないよう表現したい」と語った。

 生徒たちを指導している県ろうあ連盟の三浦緑さんは「高校生が自発的に手話通訳を志してくれてうれしい。開会式を見に来た人たちが、手話が言語ということを知るきっかけになってほしい」と話した。【川原聖史】

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