ソーシャルアクションラボ

2025.08.20

広島土砂災害から11年、各地で冥福祈る 防災呼びかけ

 災害関連死を含め77人が死亡した広島土砂災害は、20日に発生から11年を迎えた。広島市内の被災各地には献花台が設置され、遺族や住民、関係者らが犠牲者の冥福を祈った。

 土砂災害は、2014年8月20日未明に起きた。短時間の局地的な豪雨の影響で土砂崩れや崖崩れが発生し、住宅など約400棟が全半壊した。建物の倒壊などによる「直接死」が74人に上り、3人が災害関連死と認定された。

 安佐南(あさみなみ)区の市立梅林小にある慰霊碑では、立川新三さん(88)が手を合わせた。立川さんは兄の洋二さん(当時81歳)と兄の妻を亡くし、毎年献花に訪れている。

 「いつもは穏やかに暮らしているが、この日を迎えると、毎年いろいろ思い出してしまう」。言葉を詰まらせ、慰霊碑に刻まれた兄夫妻の名前をなでていた。

 追悼行事を催した梅林学区自主防災会連合会の石橋孝治会長(73)は「(砂防ダムなどの)インフラが整備され、地域の人がもう安心、安全だと思ってしまっている。もっと危機感を持ってほしい」と訴える。

 18年7月の西日本豪雨で被害を受けた安芸(あき)区で自主防災に取り組む北川哲也さん(60)も献花に訪れた。「うちの地域でも徐々に危機感が薄れている。災害時に住民同士が協力できるよう、日ごろのつながりが大切だ」と話していた。【西山夏奈】

関連記事