2025.09.11
岩手・大槌町役場跡に石碑建立 町提示の条件に遺族有志の会が同意

14年半前の東日本大震災で犠牲になった岩手県大槌町職員の遺族有志の会は10日、町から提示された役場跡地に石碑を建立する条件に同意すると平野公三町長に伝えた。犠牲者の名前を刻まず、震災伝承を目的とするなど3項目で、平野町長は「必要な手続きを進める」と述べた。有志の会は11月中の建立を目指すという。
有志の会代表の小笠原人志さん(73)や賛同する現役職員が町長室を訪れた。小笠原さんは「震災を知らない人や今後生まれる子供に教訓を伝えることを念頭に責任を持って建立し、管理する」と回答した。取材には「碑を通じて、行政の判断ミスで災害の被害を大きくしてはならないことを伝えたい」と語った。
2011年3月11日の震災で、大槌町は低地にあった当時の役場前に災害対策本部を設置した。津波の直撃を受けた当時の町長や幹部に加え、外出先から役場に戻ろうとした職員計40人が犠牲になった。当時の役場は町を二分する議論の末、19年に解体された。
遺族有志の会は23年3月、役場跡に犠牲者名を刻んだ追悼碑を建てようと町に要望。町は25年8月、名前を外した伝承碑とするなど条件付きで認める方針を示した。今後両者で建立に関する協定を締結した後、着工する。【奥田伸一】
関連記事