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2025.11.19

COP30、せめぎ合い続く 成果文書草案、途上国支援など争点

 ブラジル北部ベレンで開催中の国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は18日、議長国ブラジルが成果文書の草案を加盟国に提示した。

 温暖化による被害を抑える「適応」のための途上国支援の増額や、脱化石燃料に向けた行程表づくりなどが選択肢として盛り込まれた。

 成果文書案は、「共同作業」の精神を意味するブラジル先住民の言葉に由来した「ムチラン決定」と題した。

 産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える国際目標との乖離(かいり)への対処や、途上国向けの資金調達のあり方などが柱。参加国の意見の隔たりが大きい条文では、表現の強さなどに濃淡がある複数の選択肢が併記されている。

 コレアドラゴ議長は19日中の合意を目指すとしたが、「対立点の解消は難しい」(交渉筋)との声も広がる。会期は21日までの予定。

 焦点の一つは、先進国から途上国への「適応」支援のあり方だ。

 途上国側は、現状400億ドル(約6兆2000億円)の資金目標を3倍に拡大するよう求めているが、米トランプ政権が国際協調に背を向けるなか、「穴埋め」を強いられる先進国側は容易に譲歩できない。

 一方、ブラジルが重視する脱化石燃料や森林破壊の停止・回復に向けた行程表づくりでは、賛同国が80カ国以上に広がった。

 18日には英国、ドイツ、ケニアなど十数カ国の閣僚らが共同記者会見し、「脱化石燃料こそが1・5度の扉を閉ざさないための鍵だ」(マーシャル諸島)などとして成果文書への明記を訴えた。「脱化石燃料」への言及を回避したい産油国との間でせめぎ合いが続いている。【ベレン大野友嘉子、ニューヨーク八田浩輔】

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