2023.04.03
悩みの種を燃料に 愛媛の高校生が白砂青松「廃棄松葉」ペレット化
愛媛県今治市の県立今治東中等教育学校新5年生(高2)有志のグループ「SFキーパーズ」が自らの環境保全活動を紹介する動画が2022年度の「グリーン・ブルー・エデュケーション・フォーラム・コンクール」(実行委主催、環境省共催)U18(18歳以下)部門で環境大臣賞に次ぐ特別賞に輝いた。「砂浜でゴミとなっていた松葉をバイオ燃料に変え、美しい自然海岸を取り戻したい」という取り組みが高く評価された。
受賞作は「桜井海岸(唐子浜~志島ケ原)白砂青松(はくしゃせいしょう)保存プロジェクト」と題した3分間の動画。燧灘(ひうちなだ)に面し、同校近くに広がる桜井海岸には4000本以上の松林が広がり、国の名勝でもある志島ケ原は「日本の白砂青松100選」の景観を保ってきたが、1日約115キロも出る「廃棄松葉」が地元の悩みの種だった。
このため、グループは松葉をバイオ燃料のペレットに変えるため、昨春に35万円を目標にクラウドファンディング(ネット上の募金)を始めた。すぐにパンフレットを作って地元を戸別訪問したほか、今治市内の観光スポットを回ったり、ラジオに出演したりして多くの人に協力を呼びかけた結果、目標を上回る51万7000円が全国から集まり、ペレット加工機に加え、乾燥機も購入できた。
昨夏以降、グループは試作を重ねてペレットの製造に成功。完成品を簡単に受け渡しできるアプリも独自製作した。さらに、身近な海の環境を守る鍵ともなるアマモの藻場再生の取り組みにも注目。アマモ研究の先進校・岡山学芸館高(岡山市)とも交流し、一緒に学んだ。
グループ名の「S」は海(Sea)、「F」は森(Forest)から命名した。3月21~23日に京都市で開かれた「地球環境ユースサミット」にもコンクールの副賞として参加し、全国の若者とカーボンニュートラルや資源循環について語り合い、刺激を受けたという。
藤倉(とうくら)拓史さん(16)は「持続可能な活動の仕組みをつくってきたので、後輩たちにも引き継いでいきたい」と白砂青松プロジェクトの継承を楽しみにしている。動画は学校のホームページからも閲覧できる。【松倉展人】
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