2023.07.10
福岡・大分に大雨特別警報 土砂崩れ福岡1人死亡、佐賀3人不明
活発な梅雨前線の影響で、九州地方は福岡県を中心に10日未明から記録的な大雨になった。気象庁は短時間で大雨をもたらす線状降水帯が福岡、佐賀、大分の3県で発生したと発表し、福岡、大分の両県に大雨特別警報を出した。福岡県添田(そえだ)町では1人が土砂崩れに巻き込まれ死亡し、佐賀県でも3人が行方不明になっている。7日からの雨量は添田町、福岡県久留米市で500ミリを超えた。雨は11日にかけ続く見込みで、気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、河川の増水・氾濫に最大限の警戒を呼びかけている。
気象庁によると、各地の24時間雨量(10日午前9時20分現在)は、添田町417・5ミリ▽久留米市402・5ミリ▽佐賀県鳥栖市287・5ミリ▽大分県中津市287・0ミリ。添田町と久留米市の24時間雨量は観測史上最大となった。
添田町庄では、10日午前3時40分ごろ、土砂崩れが発生し、付近の住宅1棟が土砂に埋まった。田川地区消防本部などによると、木造平屋の住宅から70代の夫婦2人を発見、夫は病院に搬送されたが、妻は現場で死亡が確認された。
佐賀県唐津市浜玉町では、10日午前6時15分ごろ、近くの住民が「山が崩れている」と119番。唐津市消防本部によると、今坂公民館付近の山が崩れ、住宅2棟に土砂が流入した。2棟の住人の70代と50代の男性の親子と、60代の女性の計3人と連絡が取れず、消防などが救助活動を続けている。
また、九州・山口では7日以降断続的に雨が降り、山口県周南市では9日午後4時15分ごろ、市内の富田川で「人が流されている」と近隣住民から110番があった。県警周南署によると、富田川は当時、大雨の影響で増水。県警と消防などが捜索を続けている。
国土交通省によると、10日午前9時時点で福岡、大分、佐賀県で、筑後川水系の小石原川、巨瀬(こせ)川、城原川・佐賀江川、花月川▽山国川水系の山国川上流部――の6河川に氾濫発生情報を出した。また、山口県によると、同県下関市の員光(かずみつ)川で堤防の一部が決壊したとの情報がある。水資源機構筑後川局は、福岡県朝倉市の筑後川水系の寺内ダムで午前9時50分ごろから緊急放流を開始した。
大雨の影響で、JRは山陽新幹線が広島―博多間、九州新幹線が博多―熊本間で一時運転を見合わせた。
気象庁によると、梅雨前線は11日にかけて西日本から東日本の日本海側に停滞する見込みで、11日午前6時までの24時間予想雨量は多い所で、九州北部200ミリ、中国で100ミリ、東北と北陸、東海で80ミリ。
【城島勇人、五十嵐隆浩、河慧琳、福原英信】
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