2023.08.05
冠水1週間後、駐車中の軽乗用車が燃えた 予防方法をJAFに聞く
「車が燃えている」。福岡県広川町太田の住民から119番があったのは7月17日午前10時半ごろ。住宅に止めてあった軽乗用車のボンネット部分を焼き、火は約15分後に消し止められた。
駐車中の車から火が出たのはなぜか。軽乗用車の火災が起きる1週間前の同10日、広川町の北部にある久留米市の久留米観測所では24時間雨量が170ミリを観測するほどの大雨だった。県警八女署によると、九州北部を襲った記録的な大雨で軽乗用車はタイヤの上部まで水につかり、エンジンルームには水に流されて入り込んだとみられる枯れ草などが絡み合っていた。
軽乗用車を所有する男性は「水につかってエンジンが動くか心配したけれど、17日にエンジンをかけたら車が動いたので、運転して買い物に行った」と話したという。男性の帰宅直後に車から煙が出た。
日本自動車連盟(JAF)によると、多くの乗用車の電気配線やコンピューター類は車両の床面に配置され、タイヤの半分以上が水につかると機械部分も浸水してトラブルを起こすおそれがある。冠水道路の水深が5~10センチを超える場合は走行を控えた方が良く、これまでには高潮や津波で水につかった車がショートして発火したこともあるという。
では、車が冠水した時はどうすればよいのか。JAFはまず「いきなりエンジンキーを回したりエンジンボタンを押したりしない」ことを勧める。また火災防止のため、ボンネットを開けてバッテリーのマイナス側のターミナルを外し、外したターミナルはバッテリーと接触しないようビニールテープを巻くなど絶縁処置をするよう呼び掛ける。さらに、電気自動車やハイブリッド車は高圧電流に感電するおそれがあるので、むやみに触れないことが重要としている。
九州北部の梅雨末期だった6月30日~7月14日、県内を管轄するJAF福岡支部(福岡市)に寄せられた冠水に関する救援要請は計609件にも上り、7月10日273件、11日149件、12日76件、13日44件の順で多かった。
梅雨明けしても、全国各地でゲリラ豪雨が相次ぎ、台風6号も近づいている。JAFは「一度冠水した車両はエンジンなどの電気系統の漏電で火災が発生する可能性がある」と注意喚起している。【栗栖由喜】
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