2023.10.01
広島「宮島訪問税」スタート 対観光客は初 オーバーツーリズム対策
世界遺産・厳島神社で知られる宮島(広島県廿日市(はつかいち)市)を訪れる観光客らから市が1人100円を徴収する「宮島訪問税」が1日、始まった。観光客が過剰に訪れ、環境や住民生活に悪影響を及ぼす「オーバーツーリズム」対策に役立てる。いわゆる「入島税」は沖縄県の一部離島でも導入しているが、観光客をターゲットにするのは全国初。
宮島訪問税は、市が制定した条例に基づく地方税で、島に渡るフェリーの乗船料に上乗せされる。市は年間で約3億円の税収を見込んでおり、公衆トイレや旅客ターミナルの維持管理、電柱の地中化などに充てる。住民や通勤・通学者、未就学児、修学旅行生、障害者は課税対象外となる。
2019年の来島者数は過去最多の約466万人に上ったが、新型コロナウイルス下の21年は約188万人に落ち込んだ。23年は5月に主要7カ国首脳会議(G7サミット)の各国首脳らが訪問して注目が集まり、8月末までに約294万人が訪れている。
宮島口旅客ターミナル(同市)でこの日、初めて訪れたという福岡市の公務員、小村隆文さん(24)は「100円ならいいと思う。宮島は世界的に有名な観光地。税は環境維持や島の発展のために使い、愛され続ける場所であってほしい」と話した。松本太郎・廿日市市長は「オーバーツーリズムに苦しむ全国の観光地にとって新たな光になると期待している。宮島の魅力をブラッシュアップするための財源にしたい」と述べた。【根本佳奈】
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