2023.10.12
12歳の遺志継ぎ30年 ミュージカル「あいと地球と競売人」記念公演
12歳で急死した小学生の思いを引き継ぎ、初演から30年目となる地球環境保護を訴えるミュージカル「あいと地球と競売人」が、島根県民会館(松江市殿町)で15日、2回公演が開かれる。大人と子ども合わせて140人の出演。本番に向けて気持ちを高めている。【松原隼斗】
このミュージカルは、1991年に12歳で急死した同県出雲市斐川町の故坪田愛華さんの遺志をモチーフにして創られた舞台作品。坪田さんは小学6年の時、環境問題について調べてまとめる国語の課題に対し、得意の漫画で「地球の秘密」を完成させた。しかし、その数時間後に脳内出血で倒れて亡くなった。両親が漫画を遺作としてコピーし学校などに配ったことをきっかけに、93年には環境問題で貢献した人に贈られる「国連グローバル500賞」を受賞。英語や中国語など12カ国語に翻訳され、世界中の人々に地球環境の大切さを伝えている。
愛華さんの思いを伝えようと舞台化された作品は、94年3月の第3回島根音楽祭で初公演。地球を汚して競売にかけようとする妖怪たちに、地球を守ろうとする主人公のあいちゃんと仲間たちが立ち向かう姿が描かれている。初公演以降、2005年の愛知万博公演など県内外で上演を重ねてきた。
9月にも松江市内で4回公演した。15日の公演では30周年スペシャル企画として、01年の同県川本町公演のために結成された同町の「悠邑ふるさと吹奏楽団」との共演が予定されている。
10月上旬、松江市内の体育館では、本番に向けてキャストの子どもや大人たちが稽古(けいこ)に励んでいた。主人公の「あいちゃん」役は1公演ずつの交代で、同役の上月岳人さん(10)は「前回の公演では緊張してしまった。今度は慌てずいつも通りやりたい」と話し、忠田美咲さん(13)は「前回の公演は自己満足で終わってしまって悔しかった。次は絶対に100%を出し切りたい」と力を込めた。
15日の島根県民会館公演は午前11時と午後3時半に開演。演出担当の和田史朗さん(75)は「30年の記念公演にふさわしいできあがりになっている。次につながるような演技を見せてもらいたい」とキャストたちに期待を込めた。
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