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2023.11.09

史上最も暑い12カ月に 世界の4人に1人が気候変動による熱波経験

 2022年11月以降の世界の平均気温は過去最高を更新し、観測史上最も暑い12カ月になったとの分析結果を、米国の気候研究機関「クライメートセントラル」が9日発表した。この期間に世界の4人に1人が、気候変動の影響による熱波に見舞われたという。

 同機関が米航空宇宙局(NASA)や英気象庁などのデータを基に分析したところ、22年11月~23年10月の平均気温は産業革命前より1・32度高く、記録を更新した。これまでは15年10月~16年9月のプラス1・29度が最高だった。

 1991~2020年で上位1%に入る異常な高温に5日以上見舞われたのは世界の約49億人(世界人口の61%)。このうち明確に気候変動の影響で起こったと評価される高温を経験したのは約19億人(同24%)と推計された。

 人口100万人以上の世界700都市で見ると、こうした高温が5日以上続いたのは156都市。このうち、東京を含む37カ国144都市については、人間活動が原因の地球温暖化によって異常高温の発生確率が2倍以上高まっていたという。

 国際社会は産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える目標を掲げている。太平洋赤道域で海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が現在発生しており、発生時は温暖化の影響とは別に世界の平均気温が高くなることが多い。同機関は報告書でエルニーニョ現象の影響が本格化するのは来年以降であるとし、「気温の記録更新は今後も続くだろう。気候変動による危険が及ばない国はない」と指摘した。【岡田英】

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