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2023.12.09

10年間で「過去に例のないペースで海面上昇進んだ」 WMOが報告書

 2011~20年は記録上「最も暑い10年」で、氷床などの融解が加速し、過去に例のないペースで海面上昇が進んだとの報告書を、世界気象機関(WMO)が公表した。WMOのターラス事務局長は「人間活動による温室効果ガスの排出が原因であることは明らかだ」と指摘する。

 報告書は、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでの国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に合わせて公表された。

 報告書によると、この10年間の世界の平均気温は産業革命前の水準より1・1度高く、これまでのどの10年間よりも暑かった。特に北極の気温上昇が著しく、平年(1981~2010年の平均)より2度以上高かった。

 世界の海の平均水位は年4・5ミリのペースで上昇。その前の10年間(年2・9ミリ)を大きく上回り、グリーンランドの氷床の融解などが原因だと考えられるという。グリーンランドと南極は、水を氷の状態で蓄えている地上最大の「淡水貯蔵庫」だが、11~20年の氷の減少量は前の10年間の約1・4倍と融解が加速している。

 氷河の融解も進み、長期観測している世界各地の42の氷河は平均で約1メートル薄くなった。特に赤道に近い氷河では急速に減少しており、インドネシア・パプア州にある氷河は今後10年以内、アフリカ大陸最高峰のキリマンジャロの氷河も40年までに消滅すると予測されている。

 ターラス氏は「気候変動が制御不能に陥る前に、最優先事項として排出削減を進めなければならない」と強調した。【山口智】

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