2024.01.29
オオサンショウウオ 外来種や固有種との交雑個体「特定外来生物」に
中国原産の外来種「チュウゴクオオサンショウウオ」や、この外来種と日本固有種で国の特別天然記念物「オオサンショウウオ」との交雑個体について、環境省の専門家グループは29日、外来生物法の「特定外来生物」に指定することが必要だとの意見をまとめた。2月の専門家会合で決定し、今夏の指定を目指す。
チュウゴクオオサンショウウオを巡っては、在来種との交雑が深刻化し、在来種の生息密度低下が問題視されている。特定外来生物に指定されると、野外に放出したり野外で見つけた個体を許可なく移動したりすることが新たに禁止される。
環境省によると、チュウゴクオオサンショウウオは少なくとも1972年には食用に大量輸入され、一部が野外に流出した。外来種は京都や広島など近畿・中国地方に定着。交雑個体は三重や岡山など中部・近畿・中国地方の2府7県で確認され、分布拡大が懸念されている。
外来種や交雑個体は在来種よりも攻撃的で、在来種を駆逐しているとされる。また外来種は飼育下で60年生きた例もあるなど長寿命で、交雑個体の子孫は繁殖力も強い。その影響は長期間続くことから、専門家グループは在来種の保全に悪影響があると判断した。
これまではDNA検査をしなければ在来種、外来種、交雑個体の区別ができないとされてきたが、京都大などの研究グループが昨年、体色や頭部のイボの形など見た目での区別が可能だとする研究成果を発表。指定に向けた今回の判断の根拠の一つとなった。
チュウゴクオオサンショウウオは原産国では希少種で、外来種を含むオオサンショウウオ属はワシントン条約で国際取引が規制されている。国内でも種の保存法で「国際希少野生動植物種」に指定され、既に輸入や譲り渡しなどが禁止されている。【三股智子】
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