ソーシャルアクションラボ

2024.02.08

パートナーシップ制度、導入広げて 性的少数者が悩み・情報共有

 LGBTQなど性的少数者の人たちが集まり、悩みや情報を共有する交流会が奈良県生駒市であった。性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ制度」についても意見が交わされ、導入の広がりを求める声が上がった。

 同市が主催し、当事者や高校の教諭ら10~70代の11人が参加。出生時の性と自認する性が一致しない「トランスジェンダー」の定政輝(さだまさ・ひかる)さん(34)=同県斑鳩町=が進行役を務めた。

 定政さんは女性として生まれ、26歳の時に性別適合手術を受けて戸籍を男性に変更した。性的少数者への理解を深めようと講演活動やイベントの開催に取り組み、2023年10月に当事者や支援者らが奈良市内を行進する「レインボーパレード」を県内で初めて実現させた。

 この日の交流会では、ゲームをしながら参加者が自己紹介し、困っていることなどを打ち明けた。同性と暮らす30代の男性は「近所の人にはカミングアウトしておらず、どう思われているか不安」と話し、20代の女性は「自分はカミングアウトしたくないのに『もしかして』と探られ、言わざるを得ない空気になることがある」と述べた。

 パートナーシップ制度については、定政さん自身も利用していることを紹介。「パートナーが病気になった時、赤の他人として扱われることがショックだった」ときっかけを説明した。

 生駒市では21年度に「パートナーシップ宣誓制度」を導入し、これまでに4組が利用している。税の控除などは受けられないが、市営住宅への入居や犯罪被害者遺族見舞金の申請、市民病院での家族としての面会などが可能になる。民間サービスでも、生命保険金の受け取りや携帯電話の家族割りなどが適用されるケースがあるという。

 さらに、大阪府など都道府県単位で導入している自治体もあり、関西では和歌山県も2月1日から開始。兵庫県はパブリックコメント(意見公募)を経て、4月のスタートを予定している。一方、奈良県では6市町での導入にとどまり、定政さんは「引っ越しなどで制度を利用できなくなることもある。県での導入や市町村が連携していくことが必要」と訴えた。

 会場からは同性婚の実現を求める声も上がり、大阪市から来たレズビアンの30代女性は「同性婚が法律で認められれば、当事者の後ろ盾となり心強い」と話した。【塩路佳子】

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